真綿で首を絞められているような
IPCCが明らかにしているように、世界のCO2の排出量はこの先30年以内に現在の330億トンからゼロへ減少する必要がある。
日本ってオワってるよね。と言われがちだ。
それはデータで客観的に説明できる事項である。
では、そのオワっている状態に対して私が取れる対策は何か?
社会人になってから、停滞中の社会と自分が癒着したように感じる。
仕事には困ってない。働きながら貯金はできる。贅沢しなければ、十分生活できる。
でも、将来もっともっと生活が豊かになることはない。(平均的な生活を送っている限り、それは確定である)
真綿で首を絞められているみたいだな。
私は、どうやったら安心して生活できるのか考えるようになった。
より良い生活をするために移住を検討してみたり、
稼げそうなスキルを身に着けるために勉強したり、
今の日本経済の状態についてのレポートを読んだり。
この本を読んだきっかけは、とある学者さんが紹介していたからで、
世界情勢と今後取るべき政策について以下のように具体的に書かれている。
- 炭素税で化石燃料価格を引き上げて消費を抑えつつ、この税収の25%をクリーンエネルギー投資に割り当て、残りの75%を一般の人々に均等に払い戻す。
- 世界の軍事支出の6%を気候安全保障の強化に割り当てる。この6%という数値は各国の軍事支出に対して均等に割り当てる。
- グリーン債による資金調達。(連邦準備制度及び欧州中央銀行主導)
- 化石燃料助成金を廃止し、資金の25%をクリーンエネルギー投資に割り当てる。残りの資金は、クリーンエネルギーの消費者価格の引き下げや低所得層の家庭への直接支払いという形で再活用する。
この主張をしている本人も、現在に至るまでいがみ合っている国々が、軍事支出を減らして地球の為に一致団結して環境問題に取り組めるかどうかは、わからないと語っている。
※というか、今ウクライナ危機の真っただ中だし。
しかし、冒頭に書いた通り、気候問題は喫緊の課題であり、
2050年までには二酸化炭素の排出量を是るへ減少させる必要があるという。
脱成長で気候危機を解決できるのか?
気候変動に関するトピックと言えば、「脱成長」というものがある。
本書では、脱成長は気候変動危機を解決しないと語っている。
その好例として残念ながら日本が取り上げられている。
高度経済成長期以降低迷が続いている日本の経済成長率の平均は0.7%である。
結局、「脱成長」をしても、課題を解決することはできない。
石油系の産業では「脱成長」を目指すことになるが、
クリーンエネルギーの開発を行い、「成長」しなければ冒頭の目標を達成することはできない。
完全雇用とは何か?
完全雇用とは、
働く意思があるにもかかわらず、賃金水準に不満を持ち働かない自発的失業者や、転職や労働条件の不一致から一時的に働かない摩擦的失業を除き、労働意思と能力のあるものが全て働いている状態のこと
本書では、グリーンニューディール政策と完全雇用をセットで進めることで、
経済的に成長しながら、気候問題が解決できると書いてある。
大きなメリットとしては、
完全雇用経済にすることで、化石系の産業に従事してきた労働者が失業することなく次の優良雇用を見つけることができることが挙げられている。
言わずもがな、これまでと異なる産業構造が生まれると多くの失業者が生まれる。
だからこそ完全雇用経済を目指すわけだが、為政者や資本家から見ると、この経済モデルでは労働者が力を持つようになるので敵視されやすい。
今後グリーンニューディール政策を語ったり、重要視する政治家は登場すると思うが、雇用の保全方法についてどのように考えているのか調べることはとても大事だと感じた。
世界で起こっていること。
最後に、今世界で起こっていることについて引用したい。
現在6500万名もの人々が暴力や迫害や地球温暖化の影響からの逃亡によって難民と化している。ケニアやウガンダやバングラデシュと言った貧困諸国が難民たちの為に最低限の生活環境を提供するという巨大な重荷を背負わされている。一方、富裕諸国では難民全体の本の一部が到着した際に自国民族の純血性が守れなくなってしまうと騒いでいる。
移民問題は、現在様々な地域で阿鼻叫喚の事態を引き起こしている。
気候危機の主な原因は富裕国側に責任がある。
産業革命による科学技術の躍進は、人類を便利にするとともに環境破壊を促進した。
皮肉なことに、発展途上国の多くはまさにこれから富裕国と肩を並べるほどの経済成長の波に乗る矢先だったのに、気候危機問題に直面した。
だからこそ、発展途上国の気候変動の被害防止策を実施するにあたって、富裕国が巨額の資金を提供して、ともに解決していく必要がある。
だがしかし、この政策が実現すると、もしかしたら富裕国の為政者たちは被害援助国側を支配下に置くために様々な条件を課す可能性がある。(自国が引き起こした問題に目を向けずに、弱い立場にある国を支配しようとするほど厚顔な可能性がある)
これらの支配計画を打ち消すためには、市民運動の意識や規模がある高みへと到達する必要がある。
残酷な歴史の皮肉というほかないが、世界の誰よりも熱心に地球の破壊を進めている国は、短期的に大きな被害を受ける可能性が最も低く、第二次世界大戦に勝利して以来ほぼ独占的に握り続けてきた世界の覇権をこれからも維持する見込みだ。
これは、個人的に許せない問題だ。
それは、今日本に住んでいる私が直面している事態と相似の関係にあるからだ。
どうか、世界がこれ以上くだらない小競り合いに終始せずに、
問題を直視してほしいと願っている。
Don't look up!
の映画のようなエンディングはご免である。